◆企画提案にあたって
NPO法人土佐の森・救援隊では、森林ボランティア活動を林業の入口として位置づけ、高知県の山村住民や都市住民へ、林業への間口を広げ、参入しやすい林業を形づくり、普及させ、地域雇用の倍増、森林・地域林業及び山村を再生させることを目的に活動しています。
かつては当たり前だった「自分の山は自分で管理する」「自分ひとりで出来なければ、寄り合い(協働・地域コミュニティ力)で助け合うということを今一度、現代に取り戻し、小規模自伐林業(自伐林家的森業)を復活・再生させることに力を注いでいます。
また、自伐林業を増やすしくみに、木質バイオマス等利用の林地残材収集運搬システムを加え一体化した地域システム(土佐の森方式)の全国展開を図っています。
加えて、森林環境保全直接支払いとしての森林証券「モリ券」の発行、それによる地域経済活性化、森林環境教育、中山間地域在宅高齢者薪の宅配事業、木質バイオマス利用推進のための薪製造及び利活用、森林ツーリズム等を推進しています。
一方、当団体では、高知県の森林整備を促進する一つの手だてとして、木材を多方面で利活用する活動も推進しています。その中で、木材の特性である「腐る、燃える、CO2貯蔵」に鑑み、木材を腐る寸前まで「木材(ベンチ)」として使い、腐る寸前には「薪」にして燃やしエネルギー利用する(カーボンオフセット)という間伐材を二度活かす「薪ベンチ」の企画を立案し、現在、NPO法人土佐の森・救援隊が行っている限界集落対策(
間伐材で高齢者を支援)と結びつけた「薪ベンチ・プロジェクト」として提案するものです。
◆間伐材を二度活かすしくみづくり(薪ベンチ・プロジェクト)
・イメージ
(10年間使用のベンチの現状) (「薪ベンチ」イメージ)
当団体は、高知県日高村にて「
木の駅ひだか」(林地残材集積や原木・薪の販売等)を開設、仁淀川流域の間伐材(林地残材)を集積し、多岐にわたる利活用に努めています。
「薪ベンチ」につきましては、ここに集められる木材を薪として利用する前提で(言い換えれば「薪の原木」で)ベンチを製造し、提供するものです。
通常の木製ベンチは約10年の歳月が経つと朽ちて廃棄物化します。燃やして処理するしかありません。どうせ燃やすなら、廃棄物化する前に薪として加工・提供すれば木材が二度活かせます。(木製品は一般的には「腐る・燃える」ため、どのようにしたら「腐らない、燃えない」スーパー木製品が出来るかに腐心しますが、ここでは逆転の発想となっています。)
そのことにより当団体では木材の劣化状況に鑑み、1~2年でベンチを交換します。交換によって持ち帰ったベンチは薪に加工し、中山間地域にお住まいで薪風呂を使っている高齢者世帯に宅配します。
【参考】:NPO法人土佐の森・救援隊では、現在、「
第3次限界集落在宅高齢者薪の宅配事業」を実施中。中山間地域では薪風呂を使っている高齢者世帯が多く、ボランティア活動の一環として薪の製造・宅配(独居生活への声かけも兼ねている。)を行っています。高齢のため薪の調達に苦労しているお年寄りの方々に大変喜ばれています。
言いかえますと、公共施設の敷地内等で「木製ベンチ」として利用している間、「木材内のCO2を貯蔵」し、さらに高品質な薪になるように「乾燥させてもらう」というわけです。
よって、間伐材(林地残材)を「ベンチ」として利用、十分に乾かした後(1~2年)「薪」として高齢者に使っていただくという「間伐材を二度活かすしくみ」を提案します。
◆薪ベンチ(1基)にかかる経費
・原木代(薪約50kg=1モリ) 1,000円
・製作費(ベンチ&薪加工=1モリ) 1,000円
・運搬費(ベンチの配送・据付=1モリ)1,000円
・撤去費(ベンチ回収&薪宅配=1モリ)1,000円
合計(費用=4モリ) 4,000円
◆薪ベンチの仕様
1~2年間において1回新規ベンチに交換します。木材が朽ち果てる期間(1サイクル5年~10年)の間に5回転させ、常に新規のベンチが使える状態にします。
したがいまして、薪ベンチ(新規)の1サイクル保証(5回転)ということでで、薪ベンチの価格は20,000円(4,000円×5回転)となります。
なお、原木代は「モリ薪対応」及び人件費は「ボランティア対応」のため、費用はすべてモリ券の裏打ち経費となります。