◆森林問題(水の問題)
九州北部で記録的な豪雨により『土砂災害』が発生したことが連日のように報道されていますが、この災害、写真で見られるとおり「土と砂」による災害ではなく「土と木」による災害の様相で、むしろ『土木災害』と言う方がピッタリしているかもしれません。
何故、これほどまでの木材が土石流となって流れてきたのでしょうか。答えは、森林が土壌層から崩壊して、根ごし流失したからです。森林の崩壊は「表層崩壊」と「 深層崩壊」があるとテレビの災害特番等で解説されていますが、もう一つ「沢抜け」という崩壊があることには、あまり言及することがないようです。
この写真に見られる災害地は、左側が「深層崩壊」で、右側が「沢抜け」。しかし、左側の崩壊も「沢抜け」から始まり大規模な深層崩壊を誘引したようにもみえます。
いずれにせよ、今回の九州北部に甚大な被害をもたらした豪雨による森林崩壊は、面的な深層崩壊より、線的な「人工林の沢抜け」が多いように見受けられます。
森林崩壊の誘因は、もちろん豪雨ですが、「深層崩壊」は、地形的、地質的な条件が整えばどこにでも起こりうる災害ですが、「沢抜け」は人工林に限られる森林崩壊のように思われます。(このことは、中嶋健造氏が2006年に、個人ブログで指摘しています。)
・山の崩壊&沢抜け・・・ここから
何故、「沢抜け」は人工林で発生するのか?
局地的な集中豪雨がひとたびあれば、どこの人工林でも森林崩壊(沢抜け)が起こりうることなのか?
沢抜けが発生する人工林に、何らかの共通点があるのか?
そのあたりの因果関係、人工林の沢抜けのメカニズムなどを究明することがあまりないため、防災・減災対策も検討されることがないように思われます。
戦後の日本林業(国策による予定調和論型林業を推し進めた結果)が生み出した脆弱な人工林に埋め尽くされた日本国中で、記録的な集中豪雨が発生するたびに森林崩壊(沢抜け)が起こり、土石流(山津波)による『土砂災害』でなく『土木災害』が頻発しているように感じます。しかし、ニュースでは相も変わらず森林の深層崩壊による『土砂災害』に終始し、何が被害を拡大させているかのクローズアップ(問いかけ)が欠如しているように思います。
・日本林業・・・ここから
・予定調和論型林業・・・ここから
2001年の高知県西南豪雨災害は、ずばり「沢抜け」であったと、内閣府が公式に発表しています。また、2006年の長野県岡谷市での土砂災害は、災害後の報告書で「間伐不徹底など人工林の荒廃が土砂崩れの被害を拡大させた」と公式に指摘しています。(岡谷市の災害のあと、NHKが問題解決のための「バラエティー番組」を制作し、NPO法人土佐の森・救援隊も取材に協力しています。)
・森林問題の解決策(妙案・NHK) ・・・ここから
~~~~~~~~~
[参考]
◆2001年(平成13年) 高知県西南豪雨災害(内閣府HPより)
平成13年9月6日未明から、西日本上空に停滞していた秋雨前線に向かって、日本の東海上にある太平洋高気圧のふちを回り暖気流と、後に台風16号となる熱帯低気圧が流れ込んだ結果、「湿舌」と呼ばれる現象が起こり、高知県に非常に狭い範囲に短間で集中豪雨をもたらした。
県西南部の土佐清水市、大月町、宿毛市、三原村では中小河川が一気に氾濫した。山間部では大雨で地盤が緩み、沢沿いの斜面が崩壊して大量の土砂や倒木が流れ下る「沢抜け」と呼ばれる現象があちこちで発生した。
【写真】被害写真/土佐清水市貝ノ川橋付近(9月7日撮影)貝ノ川橋の欄干に大きな流木が引っかかっており、増水時の水位が伺える。
~~~~~~~~~~~~~
[広告]
「木の駅ひだか」は薪の直販所(良心市)・薪のラインアップ・・・
ここから◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~