<2017.2.1.22.21>
■違いは?
自伐林業と自伐型林業はどう違うのか、という質問を良く受けます。結論から言うと、違いについては明確に述べることは出来ません。
というのも、両方ともNPO法人土佐の森・救援隊が行ってきた活動経緯の中から生まれた言葉(造語)であって、一般的に使われてきた言葉でもないし、これまでの林業用語でもないからです。(現在は、中嶋氏の「自伐型林業の全国展開」に乗じて、両方とも林業用語のようになってはいますが・・・)
違いを明確に出来ないのは、比較的新しい造語のため明確な「定義がない」ことによります。(林業用語として、以前から使われていたのは「自伐林家」という言葉であり、これは農林業センサスで定義付けされています。
・林家とは?(農林業センサス)
私有林における林業構造の実態を把握する基本単位として、「林家」と 「林業経営体」の2つを設定している。このうち、「林家」とは、保有山林面積が1ha 以上の世帯。
蛇足ながら、センサスでは「森林施業の主体を「林家による自家労働」、「森林組合」、「素材生産業者等」 の3つに大別しています。その中の「林家による自家労働」の林業経営形態が「自伐林業、自伐型林業」と言うことになるのでしょうか。」)
しかし、「違いは如何に・・・」という質問には答えなくてはならないので、「自伐林業は、自分の山で自分で林業を行うこと、自伐型林業は、例えば地域おこし協力隊などの自分の山を持っていない若者が(個人で、若しくは組織で)他人の山を借りて林業を行うこと」と説明すると、ほとんどの場合、納得してくれます。
しかし、この回答では、違いを明確に説明したことにはなりません。
さらに、違いを突っ込んでくる質問者には、あえて「自伐林業」「自伐型林業」を定義付けるとすれば・・・ということで、センサスの林業経営形態の定義付けを借りて、「全くひとりで林業を行う、若しく家族で林業を行うのが「自伐林業」で、寄り合い、グループ(組織)などで林業を行うのが「自伐型林業」と説明すると納得してくれる方もおります。また、両者の経営形態の違いとして、「自伐林業」の立ち位置は第三セクターでボランティア精神を根底にした経営形態(土佐の森方式)ですが、「自伐型林業」は企業の論理を根底とした第二セクターに軸足を置いた経営形態、と説明することもあります。
しかし、林業経営形態によるこの定義付けでは中嶋氏が提唱する「自伐型林業」の説明にはならず、より明確にするためにはもう一つの定義付けが必要です。「林業経営理念」を付け加えれば、より明確になると思います。(
日本林業の経営理念には「
予定調和型林業経営理念」と、その真逆にある「予定調和型林業経営理念にとらわれない経営理念」があります。)
中嶋氏の提唱する「自伐型林業」は、「後者の経営理念によるもの」と付け加えれば、より明確になります。しかし、ここまで説明すると「自伐型林業」の定義付けだけということになり、始まりの「自伐林業」と「自伐型林業」の違いの回答ではなくなってきます。予定調和型林業の説明など、説明のための説明が必要になり、ここまで説明することはほとんどありません。(松本)
・
自伐型林業のこと・・・
ここから ・
自伐林業のこと・・・
ここから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[参考]
◆自伐林業についての本を刊行しました(家中茂氏/理事・鳥取大学准教授)
詳しくは、
ここから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
[「自伐林業についての本」より]
第4章の3
NPO法人「土佐の森・救援隊」を淵源とする「自伐林業」運動の全国への波及
比較的小規模な山林を所有し、おもに家族的経営によって自ら施業する林業経営体もしくは林家を「自伐林家」と呼び、そのような形態の林業を「自伐林業」という。
1990年代後半~現在の「自伐林家の組織化と地域森林経営、バイオマス利用と自伐林業の拡大」こそが、NPO法人土佐の森・救援隊によって牽引されている「自伐林業」運動である・・・
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NPO法人土佐の森・救援隊~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~