
(2014年6月13日/高知新聞・夕刊)
1 土佐の山間から――始まりへの予感

2013年7月8日、高知県いの町吾北、通称「633美ハウス」と呼ばれる小さな木造家屋に、20名余りの人びとが向き合っていた。一方に、総務大臣・新藤義隆、衆議院議員中谷元、総務省地域力創造審議官・関博之、林野庁森林利用課長・原田隆行、高知県副知事・岩城隆章、高知県林業振興・環境部長・田村壮児らが、もう一方に、NPO法人土佐の森・救援隊・中嶋健造・・・
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若き林業女子・野尻萌生さん、
四万十の林業女子・秋山梢さんも参加しています。)
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新藤総務大臣が自伐林業を視察
2 日本の森林の現実と研究及び政策との乖離

森林の多面的機能や生物多様性という言葉を掲げた研究や政策が登場してから久しい。しかしながら、現実の日本の森林は必ずしも理想的な状態を保っているとは言い難い。それどころか、戦後の拡大造林によって形成された森林が伐採期を迎えているにもかかわらず、農山村地域の過疎化、高齢化という社会変化のなかで放置され、その結果、集中豪雨に伴う災害を頻発させたり、野生動物による農作物被害をもたらす一因とさえなっている。日本の森林をめぐる、この現実と研究や政策との乖離はいったいどこから生じているのだろうか・・・
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フォーラム「我が国森林・林業の再生をいかに進めるか」
3 NPO法人「土佐の森・救援隊」を淵源とする「自伐林業」運動の全国への波及

比較的小規模な山林を所有し、おもに家族的経営によって自ら施業する林業経営体もしくは林家を「自伐林家」と呼び、そのような形態の林業を「自伐林業」という。1990年代後半~現在の「自伐林家の組織化と地域森林経営、バイオマス利用と自伐林業の拡大」こそが、NPO法人土佐の森・救援隊によって牽引されている「自伐林業」運動である・・・
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NPO法人土佐の森・救援隊
4 自伐林業運動の展開

地に足をつけた自伐林業の取組みが全国に展開し始めている。同時に重要なことは、森林をとりまく自然的及び社会的歴史的条件の多様さに応じて自ら施業し経営する創意工夫のなかから、自伐林業の新たな担い手たちのあいだに自伐林業の思想とでもいえるものが芽生えてきていることである・・・
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自伐林業運動
5 未来につなげる「責任ある林業」

NPO法人土佐の森・救援隊による「副業型自伐林家養成塾」の講座では、徳島県那珂町の橋本光治さん(橋本林業)を招聘する。その講義の狙いは、橋本林業を支える経営理念について、受験生が受けとめ自ら考えることを促すことにあるといえるだろう。橋本さんの林業経営は「限られた森林の永続管理と、その限られた森林からの持続的に収入を得ていく林業」であり、「地域に根ざした環境保全型林業」であって、土佐の森・救援隊がめざす自伐林業のモデルとして位置づけることができる・・・
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NPO法人土佐の森・救援隊は・・・
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林業新時代─「自伐」がひらく農林家の未来」(シリーズ地域の再生/第18巻)
大規模・高投資・高性能機械で材価も環境も破壊する集約化政策を超え、小規模・低投資・小型機械で仕事をおこす。
本体価格:2600円+税 判型:四六
著者:佐藤宣子・興梠克久・家中茂著
出版:
農山漁村文化協会(農文協)
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「林業新時代」を刊行して・・・