発信<2017.1.2.18.14>
「
自伐型林業」はNPO法人土佐の森・救援隊(中嶋健造理事長)が設立時からの
活動理念に基づき企画・提唱。
東日本大震災を契機に、精力的に
全国展開を図ってきました。現在は、自伐型林業の展開を支援する全国組織(自伐型林業林業推進協会)を立ち上げ、中嶋氏は代表理事として東奔西走しています。
◆
自伐型林業林業推進協会平成26年11月、政府の
地方創生対策と絡み、
国会でも取り上げられ石破地方創生担当大臣が前向きな発言をしました。
「
自伐型林業」の
発祥の地とされている高知県では、県単独予算で平成21年度より「高知県副業型林家育成支援事業」で自伐林家養成塾を開講し、幾多の自伐型林業に取り組む個人・団体(自営業的自他伐林業家<
一人親方><
グループ/組織>)を養成しています。(平成27年度は
第7回目/プロポーザル方式でNPO法人土佐の森・救援隊が受託)、また、副業型林家育成支援関連予算(県単独事業)として「自伐林家等支援事業」を平成25年度まで実施してきました。
しかしながら、
高知県議会の
質疑応答に「NPO法人土佐の森・救援隊」及び「自伐型林業」が登場したのは、平成26年6月議会が最初です。このときの部長答弁が契機となり「
林業学校」が実現することになったのですが、その中身は質問の主旨とは異なる答弁内容で旧態依然の「林業事業体への就業研修」というものでした。
さらに、平成26年10月30日に行われた「
対話と実行座談会」では、当局が設定したテーマは「(大規模林業/森の工場関連施策の補完としての)
小規模林業の取組み」でした。(この座談会は、知事の発言から「自伐型林業の推進」が急遽テーマとなり、高知県も本格的に「自伐型林業」を施策に取り入れる雰囲気となった座談会でした。しかし、その後発足した協議会の会長には、NPO法人土佐の森・救援隊、及びNPO法人全国自伐型林業推進協会の理事長である中嶋健造氏が就任しましたが、会の名称は、やはり「自伐型林業推進協議会」ではなく「
小規模林業推進協議会」というものでした。26年度の県予算では、副業型自伐林家養成塾関連予算は大幅に減額、また、養成塾卒業生の自伐林業家谷岡青年が、県からの唯一の支援・補助として受けていた「自伐林家等支援事業」も唐突に廃止しています。<下記注・参照>)
平成28年度高知県予算では、「高知県副業型林家育成支援事業」を廃止することの検討が担当課(森づくり推進課)でなされました。副業型林家育成支援については県がダイレクトに行わず、その業務を市町村へ移管して、それを県がバックアップする形に変更しました。とにもかくにも「自伐型林業」には県はノータッチというスタンスのように思えます。
「自伐型林業」は概して小規模な林業ということであり、大規模な自伐型林業も(自伐型林業のモデルともいわれる古来からの吉野林業がそうであるように)ありうることで、本質的には「自伐型林業」と「小規模林業」を同じ土俵のうえで議論することには無理があります。「自伐型林業」を論ずるときは真逆にある「
予定調和論型林業」を土俵にあげるべきものと考えます。
なお、「高知県副業型林家育成支援事業」の廃止については重要案件ですので、当局(高知県林業振興・環境部森づくり推進課チーフ(担い手対策担当)/ 山下)の申し入れにより、平成27年12月7日にNPO法人土佐の森・救援隊(中嶋理事長、
四宮事務局長)と協議し市町村への移管方式が決定されました。
全国的に「自伐型林業」の大きなうねりが起こっています。高知県の「小規模林業推進協議会」の会長に就任した中嶋健造全国自伐型林業推進協会代表も「
潮目が変わりはじめた」と実感しているなか、高知県当局の「自伐型林業」に対する認識を改めていただかなければならないと思います。
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高知県副業型自伐林家養成塾卒業生を訪問(中嶋健造氏)
・
論壇「自伐型林業」(中嶋健造氏)
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自伐林業とは?」(土佐の森グループ)
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*注
高知県自伐林家等支援事業費補助金交付要綱
附則2この要綱は、平成26年5月31日限り、その効力を失う。
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[プロフィール]
◆中嶋健造さん(NPO法人 土佐の森・救援隊 理事長)
IT、自然環境コンサルタント会社等を経て、2003年、NPO法人「土佐の森・救援隊」設立に参画。現在、理事長。地域に根ざした環境共生型の林業は、山の所有者が自分で伐採する”自伐”であると確信し、「林業+バイオマス利用+地域通貨」を組み合わせた「土佐の森方式」を確立。森林・林業の再生、中山間地域の再生、地域への人口還流、地方創生、森林環境の保全・再生等のために、自伐型林業の全国普及にまい進している。
.・
NHK地域づくりアーカイブス(第1回~第6回)
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NHK地域づくりアーカイブス(第7回)
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NHK地域づくりアーカイブス(第8回)
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[参考]
①新聞記事より(高知新聞/2016.9.25)
小規模で持続的な「
自伐型林業」の普及に取り組んでいる高知県いの町の中嶋建造さん(54)=NPO法人土佐の森・救援隊理事長、同法人自伐型林業推進協会(東京都)代表理事=が、社会課題の解決に向けた革新的なリーダーとなる日本財団の「
ソーシャルイノベーター」に選ばれた・・・続きは、
ここから・
ソーシャルイノベーション(日本財団)
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②新聞記事より(高知新聞/2015.1.19)
◆高知県小規模林業推進協議会が発足
自伐林家など小規模林業の裾野を広げようとしている県内の実践者たちが「県小規模林業推進協議会」を立ち上げた。いの町で開かれた設立総会には森林ボランティアや行政関係者らを含め約120人が出席。
会長に就いたNPO法人土佐の森・救援隊の中嶋健造理事長は・・・続きは、
ここから・高知県小規模林業推進協議会のHP・・・
ここから~~~~~~~~~~~~~~~~
③新聞記事より(高知新聞/2014.10.30)
◆伐採地確保の仕組みを
林業関係者と知事座談会
尾崎正直知事が県政課題について県民と意見を交わす「対話と実行座談会」が29日夜、吾川郡いの町で開かれ「小規模林業の取り組み」をテーマに県内の実践者ら6人が参加。林業の担い手育成に向けた課題や県の支援策について話し合った・・・続きは
ここから◆対話と実行座談会(2014.10.29)
この座談会に出席した、NPO法人土佐の森・救援隊の副理事長(事務局長)四宮成晴氏と知事の対話です。
(四宮氏)
NPO法人土佐の森・救援隊の四宮です。今、技術を身につけるという話がありました。我々は県から、「副業型林家育成支援」ということで、誰でもできる林業、それから個人の方々ができる林業というのを目指していきたいという声をかけていただき、我々もやりますというところで6年目に入りました。毎年、30名前後ぐらいの研修生を受け入れて、そのうち数名程度は林業にそのまま向かっていく、今年もそういったメンバーの方々と一緒に研修を行っています。
それから、高橋副部長からいろいろ説明を受けました。小規模林業の話をずっと言っていますけど、知事が先ほどのあいさつの中で、自伐型林業と小規模林業を並列しておられましたが、どうもこの資料の中には自伐型林業という言葉がないので、ぜひこの中へ自伐型林業というのをどこかに入れていただけないかと思っています。
(知事)
それは小規模林業とは自伐型林業を含むということでしょう。
(四宮氏)
それともう1つ知事の言葉に感激したのは、中山間地域の方々が裏山に行って木を切り出して、それが日頃の生活であるとか産業に結びつければいいじゃないかと。私もそういうのを考えていまして、我々の活動の原点は、裏山に行って木を切り出してそれを薪にして、自宅の薪ストーブや五右衛門風呂、薪風呂に使っているというのがやっぱり我々の森を見る目の原点になろうかなと思っています。
林業振興という言葉を皆さんはおっしゃいますが、我々は振興ではなくて復興という言葉を使っています。今ある林業が良いというのではなくて、かつては自分で、それができなければチーム(寄り合い)で地域の山を整備していた。言い換えれば、昔よき頃の林業をもう一度復活させる。そういった林業を復興していこうというのが我々土佐の森・救援隊の到達点であり、最終的な目的をそこに置いております。
それと同時に、知事もおっしゃっていましたように、それが中山間地域の活性化、再生につながっていけばいいということで、我々はそこに介して地域経済と連携するために、地域通貨券の発行であるとか様々なところの仕組みをそこに入れていき、森林整備が地域産業あるいは地域経済、地域の再生につながるような仕組みをもっていろんな活動をしております。
そうする中で、うちの中嶋理事長が大きく声を高らかにしているのが、その担い手であるのが自伐型林業。これをこれから進めていくことが林業の復興にもつながるし、中山間地域の再生にもつながっていくのではないかと思っています。小規模林業イコール自伐型林業ということで進めていっていただければと思っております。
また意見をお聞きしますと、我々の活動というのは森林整備はもちろんのこと、先ほどの我々の環境活動と福祉活動を横串を刺したような形で、中山間のおじいちゃんやおばあちゃんの家に我々が切り出した林地残材を薪にして提供する、そういった活動もしながら自伐型林業の全国展開をする。それから東北の沿岸、特に三陸沿岸域の方では、就労というところを1つの切り口にし、就労を目指した自伐型林業のあり方の取組を始めてもう3年目になります。
そういったことで通常の森林整備もしながら、中間ドナーの運営もしたり、東北支援をしたりという活動を我々土佐の森・救援隊は行っております。
(知事)
ありがとうございます。自伐型としての就労の支援をされていますが、その就労される人の形態は専業の場合もあれば副業の場合も、いろいろなパターンがあるのでしょうか。
(四宮氏)
自伐型林業の特徴というのは、関わる人のライフワークに応じた、どのような形でも入っていけるというのが一番の特徴です。専業でなくてももちろん構いません。まずはボラバイト、それからアルバイト、それから副業型、そして最後は正業というふうにピラミッド型で構成される林業にかかわる形態というのが理想ではないかと。どこのスタンスでも関わってくる、どんな人のライフワークにも応じた林業ができるというのが自伐型林業であり、概して小規模な林業であるというふうに我々は考えております。
(知事)
中山間へ行って高齢者の方の昔の話を伺うわけですが、お姉ちゃんがお嫁さんに行く時、親父が木を切ってきて、そのお金でいわゆる嫁入り道具を揃えたと。ほんとに裏山にある木を切って、それが金になって、人々の暮らしの足しになれば。資源が溢れているわけですから、そのようにぜひ持っていきたいものだなと思っています。
さっき筒井さんの言われた、嶺北はいろいろ売り先がいろんな形で多様にあって恵まれているとおっしゃっておられましたが、多分、売り先の商流が少しずつ太くなってきているのではないか。高知おおとよ製材はその1つの成果だと思っているのですが、やはりCLTなど売り先を増やしたいということも思っていますし、少し増えてきつつある。だから、今こそ、この自伐型林業に従事しようとする人の数をもっと増やしていくいいチャンスかなと思っていますが、いかがでしょうか。
(四宮氏)
そうですね、あとエネルギーもあります。それも含めて、この誰もが参画できるような林業というのが出てくれば、もっと大きく林業が動いてくるのではないかと思います。日本国60%以上が森林、高知県だと84%です。これは非常に大きな開発領域であるというふうに当組織の代表は言っております。この開発領域である84%を使わない手はないのではないか、これからの林業の大きな道じゃないかなと思っております。
(知事)
自伐型林業で新たに取り組もうとされる方で、自分で山を持っていない人もいますが、そういう人の場合はどうされるのでしょうか。
(四宮氏)
個人で山を持っている人を含んでチームを作ってすることもできますし、個人でもチームでも、誰かの山と森林整備協定を結んですることもできます。
先ほど筒井さんがおっしゃったように、例えば町有林や県有林、国有林を開放していただいたり、施業をすることができない個人の山主さんから提供していただいたりすることによって、今まで山を持ってない、林業に全く関わってない方々も林業という世界へ飛び込むことができる。自伐型林業は、そういうことが可能ではないかと思います。
(知事)
移住の受け皿となり得るのではないかと思いますが。
(四宮氏)
そうです。
(知事)
ありがとうございます。
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④ブログより(
中嶋健造ブログ)
◆現行林業(林野庁主導)と自伐型林業の違い
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1 林野庁主導で長年展開されてきた現行林業・・・
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2 自伐型林業の定義は、限られた森林を離れず・・・
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3 林業手法は一般の方からすると、ブラックボックス・・・
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4 現行林業の林業経営の方向性は「所有と経営の分離」・・・
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5 現行林業の予定調和は「50年皆伐施業」・・・
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⑤ブログより(
土佐の森ブログ)
◆
新しい林業・
我が国森林・林業の再生をいかに進めるか」 ・
真逆の取り組み・森林ジャーナリスト田中淳夫氏と自伐型林業・・・
ここから・
地域づくりアーカイブ(NHK)
◆高知県議会と自伐型林業
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高知県議会質疑応答(高知新聞/2014.6.29)
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高知県議会(2014.6月定例会、9月定例会)
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続:高知県議会(2014.9.18)
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続々:高知県議会(2016.12.14)
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⑥メッセージ
【写真】中谷元(
自伐林業普及推進議員連盟会長)
【写真】石破茂(地方創生・国家戦略特別区域担当)
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世界をリードする森林大国日本へーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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①New自伐型林業のすすめ(編著:中嶋健造/NPO法人土佐の森・救援隊理事長)
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②林業新時代(編著:家中茂/鳥取大学准教授)
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林業新時代─「自伐」がひらく農林家の未来」(シリーズ地域の再生/第18巻)
大規模・高投資・高性能機械で材価も環境も破壊する集約化政策を超え、小規模・低投資・小型機械で仕事をおこす。
1 土佐の山間から――始まりへの予感
2 日本の森林の現実と研究及び政策との乖離
3 NPO法人「土佐の森・救援隊」を淵源とする「自伐林業」運動の全国への波及
4 自伐林業運動の展開
5 未来につなげる「責任ある林業」
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あらまし出版元は「
農山漁村文化協会」でネットで購入できます。
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