
【写真】第5回副業型自伐林家養成塾(2013.12.21/日高村茂平の森)
副業型自伐林家養成塾はNPO法人土佐の森・救援隊が高知県森林部局からの委託により、平成21年8月に第1回を開催、平成27年の第7回まで実施しました。(毎年約7ヶ月間にわたり開講)
・副業型自伐林家養成塾のご案内・・・
ここから・第1回~第7回のあらましは、・・・
ここから自分の山をきちんと管理したい方や林業での収入を得たい方を対象にした「副業型自伐林家養成塾」と銘打ち、チェンソーの技能訓練から始まって、軽架線、林内作業車、ユンボ、フォークリスト等の基礎林業訓練をはじめ、間伐(伐倒、造材、搬出等)実習や作業道敷設実習、森林林業経営など、様々な林業実践技術を学んでいただきました。
通算7回の養成塾では、約200人の研修生が林業技術を取得、現在、県内外各地で活躍しています
これまで、何かと話題となった“
林業女子”を世に出し、素人でも森林整備に関われることを実証してきました。この養成塾は高知県の新産業推進計画(小規模林業の推進)にも位置づけられています。
詳しくは、
ここから・「林業女子」については、
ここからなお、高知県からの委託による養成塾は、第7回で終了しましたが、ここで確立された「自伐林家養成塾の研修システム」は、中嶋健造氏(NPO法人土佐の森・救援隊、全国自伐協理事長)及び四宮成晴氏(同事務局長、同理事)が「自伐型林業」の全国展開の中で、その普及啓蒙を行っています。
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■第5回副業型自伐林家養成塾
第5回養成塾(平成25年度)には、高知在住の元新聞記者/カメラマンでルポライターの成川順氏が研修生として参加しています。氏の卓越した筆力・写真力によるレポートがNPO法人土佐の森・救援隊の公式ブログに掲載されています。
・成川レポート・・・
その1、
その2、
その3***************
第5回副業型自伐林家養成塾<第3クール/平成25年11月>の研修内容は「作業道づくり」、フィールドは、第3回の養成塾卒業生の谷岡宏一君の自山(佐川町古畑)です。

・
谷岡少年の森・
谷岡青年の森特別講師は橋本光治氏(専業自伐林家/徳島県)
橋本流自伐林家の特徴は「森づくり手法」と「作業道」です。橋本さんは大阪の大橋慶三郎さんに作業道づくりを習い実践されています。四国内では作業道づくりでは第一人者。

◆橋本流自伐林家
数代にわたり約85haの山を林業経営されている歴史ある自伐林家。樹齢の異なるスギ・ヒノキ・マツ、に加えケヤキ等の広葉樹の巨樹も混在する。まさしく混交林を造り上げている。百年を超える木があちこちにあり、写真のように幽玄の森のような趣がある。
これはあらゆる樹種の活用と自然更新ねらった施業等によると思われる。年間約200~300m3の間伐を林内の状況を見ながらおこない、搬出は急峻な林内に張り巡らされた幅2mの作業道(写真を参照)を駆使し、ユンボーと林内作業車、2tトラックでおこなっている高性能機械は所持していない。
専業林家で200m3/年という木材の搬出は少ないなと感じたのだが、山を見て納得。こちらの山も下層植生豊かで林床はふかふかの状態。長年使える作業道づくりも橋本流自伐林家の特徴の一つ。
◆谷岡青年の自伐林家について

谷岡青年は養成塾卒業後、佐川町のこの持ち山にて、お母さん(同卒業生)とともに自伐林業を開始して2年目ですが、このように、既に約1.5kmほどの作業道を敷設しています。最近の作業道はかなり上手になっています。成長が垣間見えます。
高卒後未経験の林業に参入してまだ2年、大したものです。橋本さん言うとおり、自伐林業は覚悟があれば誰でも本当にできるということを身で証明してくれています。ちょっとひきこもり気味だった彼が、自伐林業でどんどん成長してきています。
この日は講師の橋本さんによる、これまで作った作業道の検証と、悪い箇所の修正です。非常に勉強になりますね。真面目にとても頑張っている彼ですが、この山は条件に達しないないということで国の支援を受けられない山です。県単独及びNPO土佐の森・救援隊の支援を受けながら、何とか森林施業(作業道開設、間伐、搬出、運搬)を実施してきました。彼のおじいさんが植栽した山ですが、非常にいい森になりつつあります。いい森は3代かけて整備しても、まだ未完成です。26年度は国もちゃんと支援できるように変わってほしいものです。(中嶋健造)
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■成川レポート/第5回養成塾(抜粋)
◆Make a difference!(写真撮影・2013.11.16)

アメリカのシアトル在住の友人(在米23年の日本人)は、アメリカの学校教育が日本の学校教育と決定的に違うところは、「Make a difference!」と先生が生徒を指導している点だと言う。「Make a difference!」は「我が道を行け!」とでも意訳すればいいのだろうか。木材価格の長期低迷が続く日本国で自伐林家として生き残っている人たちは、努力と工夫、そして強烈な個性の人たちである。
徳島在住の自伐林家・橋本光治さん(67)は、作業道づくりでは四国の第一人者と目されている人だが、元銀行員である。自伐林家として35年の試行錯誤の後、山林内に30kmの葉脈のように走る作業道を完成させた。長伐期、択伐による複層・針広混交林を実現したことにより朝日森林文化賞を受賞している。橋本さんは、後進にかくアドバイスする。
「自伐林家を目指している人は、自分の身の丈に合った森林作業道を開設し、機械化し、自家労働で行うべきです。基盤整備の作業道は欠かすことができません。作業道を利用して、間伐を行い、中間収入を得るのです。皆伐はいけません。道の敷設が不可能なところは、土佐の森方式の軽架線で搬出すればいい。山林所有面積の少ない人は、いわゆる農家林家として生計を立てればいい。1年1kmの作業道をつければ、200万の補助金が出ます。間伐の補助金が80万、木材が64万で、年に344万になります。人に頼んだらダメですよ。自分でやれば、何とかなるものですよ」
この日は、午前も午後も橋本さんが講師を務めた。午前中は座学で、午後は「谷岡青年の森」(佐川町古畑)で作業道づくりの現場を見学した。谷岡青年は、一昨年の養成塾の卒業生で、橋本光治さん、安藤忠広さんのアドバイスを得て、現在1300mの作業道を敷設している。橋本さんは、「作業道のカーブは、女性の体のようにまーるくするのです。この岩は砕きなさい。あの木は伐りたくなるだろうけど、残しなさい。」と具体的にアドバイスしていた。
【写真】中央が橋本さん、左が谷岡青年、右が研修生たち

橋本さんの作業道づくりの解説は、エネルギッシュで、具体的である。
今後、行政面で、自伐林業を組み入れようとしている佐川町(新町長の公約)の職員も3名、研修生に混じって、見学していた。
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高知県佐川町長に堀見氏(2013.10.7/高知新聞より)
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◆若き自伐林家(写真撮影/2013.11.17)

前日に続き、「谷岡青年の森」で作業道づくりの実際を見学した。
谷岡青年というのは、正真正銘の青年で、御年20歳、自伐林家の世界では注目すべき新進気鋭の若者である。春秋に富んでいるので、自伐林家としての成長が楽しみである。
実は、私は、6か月ほど前に、1度この森を間伐したことがあるのだが、その頃と比べると、間伐も進み、道づくりも進み、森全体が明るく、落ち着いたものになっていて、驚いた。NPO法人 土佐の森・救援隊のサポートはあるが、基本的には、彼一人がコツコツと作業を積み重ねた結果であろう。
「5秒ほどしてから返事をする」ご本人は、無口なほうなので、最初お姉さんのように見えたお母さんにいろいろ聞いてみた。
「2年前、専門学校をやめて、うちでぶらぶらしていたので、副業型自伐林家養成塾を勧めました。いっしょに申し込み、私も受講しました。うちの山林は44haくらいあります。ユンボは120万、林内作業車は40万で、ネットオークションで買いました。1年で1300mの作業道ができました。私は勤めを持っていますので、休みの日しか手伝えません。危険な作業は、私の目がある時にやらせるようにしています」
【写真】谷岡青年にユンボの操作を指導する橋本さん(右)。私の目には、谷岡青年も神業のようにユンボを操作していたのだが・・・。

【写真・左】林道から入って50mほどのカーブをユンボを駆使して大改修している橋本さんとそれを感嘆して見学している研修生たち。
この日1日がかりで、カーブ改修は完了した。

【写真・右】安藤忠広さん(橋本光治さんの弟子)に同行してきた平泉さん。一つ目の女鬼太郎みたいだが、右にも目はある。
木工家を目指しているそうだが、なぜかユンボがお上手。
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◆「谷岡青年の森」での伐倒実技(写真撮影/2013.11.18)

養成塾3日目は、「谷岡青年の森」での伐倒実技だった。和歌山県から来ている金子さんと私が指導員の荒木さん(経験10年)について森の奥に入った。
「谷岡青年の森」では、今年最後の伐倒だったが、荒木さんのチェーンソーを3人が交代で使い、午前午後合わせて20本くらいも伐倒しただろうか。すでに間伐が進み、樹間が空いていたので、「かかり木」(他の木の枝が絡まって倒れない)にてこずることはほとんどなかった。
【写真】「かかり木)を「木回し」で倒そうとしているところ。左:荒木さん、右:金子さん。

林道の近くでは、A材の搬出をしていた。左から松本さん、尾立さん、入江さん。
土佐の森グループのNPV活動に参加。参加隊員は5名+谷岡青年。養成塾研修生は5名が参加。整備予定のエリアの伐採を完了。2t車1台のA材を「木の駅ひだか」へ搬送して、今年度の「谷岡青年の森」支援活動は終了。
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◆トビを買った(写真撮影/2013.11.20)

重い材木を人力でコントロールするときには、トビがないと、素手でやっていたのでは仕事にならない。トビを材木に突き立て、少し距離を置いて立ったまま、自らの体重プラス腕力で、てこの原理(支点・力点・作用点)なども応用しつつ、材木を扱うことができるからだ。場合によっては命に係わる場面もあり、これほど道具という物のありがたさを痛感することはない。
必要に迫られて、いの町の林業専門店・綱屋でトビを買った。標準的なもので、金属の部分(2000円)と柄の部分(2500円)に分かれており、セットで4500円。組み立ては、自分でするのである。どうして「トビ」と言うのだろうか。金属部分が鳥のトビの顔と似ているからだろう。長さは136㎝、長年の試行錯誤の結果、この長さに落ち着いたのだろう。
11月20日(水)は、茂平の森(日高村)で木材を搬出した。上の作業道から軽架線(50m)を張り、間伐材を引き上げ、2tトラック1台のA材、軽トラ6台のC材を「木の駅ひだか」へ搬送した。この日の積み込み、積み下ろし作業で、自分のトビを初めて使った。トビを使いつつ写真も撮るなんて芸当はできないので、この日の作業写真は写せなかった。
【写真】は、道具と機械に詳しい好永さんに完成してもらった私のトビ。トビの組み立てにもコツがあり、熟練が必要である。

軽トラにより「木の駅ひだか」に運び込まれたC材は、総量を計量し、帰りに風袋(荷を下ろした状態)を計量し、引き算して、運び込み重量を記録し、翌月にモリ券の発行を受ける。そのモリ券で晩酌を・・・という「木の駅ひだか」のオリジナル事業である。
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木の駅ひだか(C材で晩酌を!事業)

松本さんは、日常的に、皆が帰ってからも残業を続ける人である。写真は、丸和林業(株)にチップ材を運ぶため、C材を2tトラックに積み込む松本さん。この日、フォークリフトを操っていたのは伊東さん。
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◆「土佐の森方式の軽架線」を使った(写真撮影/2013.11.22)

11月の副業型自伐林家養成塾の最終日は、「司牡丹の森」(佐川町)で、軽架線の実地練習をした。片岡指導員のアドバイスはあったが、第一軽架線を4名の研修生だけで運用した。
養成塾も5日目ともなると、週日ということもあり、出席率は高くない。遠いところから記すと、金子―和歌山、中西―本山町、成川―いの町、西本―日高村、の4名がこの日の研修に出席した。私は、3日目の伐倒と同じく、林業経験10年の金子さんと中継地点を担当した。金子さんも軽架線は初めてなのだが、10年の林業経験がものを言うようで、状況判断と体の動きは素早かった。
【写真】下から上がってきた間伐材を横移動の第一軽架線に付け替えているところ。右は上がってきた間伐材を着地させる尾立さん(昨年度の養成塾・卒業者)、左は着地した間伐材のワイヤーを第一軽架線に付け替える金子さん(今年の養成塾・研修生)。

土場で間伐材を下ろし、ワイヤーを外しているのは西本さん(左)。林内作業車を操作しているのは中西さん(右)。
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土佐の森方式軽架線とは?
この日、須崎から助っ人に来ていた「林業女子」の中村さんいわく、「自宅に林内作業車があったので、子供の頃からやらされてました」
中村さんは松本さんの娘さん。
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