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土佐の森・文芸 幕末足軽物語(南寿吉著)
[関連話]
南寿吉◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

届かなかった手紙
龍馬を見抜いた男 樋口真吉伝
南寿吉著(発行/有限会社テラ)
第一章 真吉の生きた時代
第二章 幡多の志士・樋口真吉
第三章 西洋砲術の導入
第四章 龍馬と真吉の出逢い
第五章 激動の時代
第六章 龍馬赦免、伊豆下田に吹いた神風
第七章 勤王党弾圧・雌伏の時代
第八章 届かなかった手紙
龍馬を見抜いた男 樋口真吉伝(平成23年度高知県出版文化賞/2011.3.15発行)
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幕末足軽物語 樋口真吉伝 完結編
南寿吉著(発行/テラ・ハウス)
第一章 幕末足軽物語一
第二章 幕末足軽物語二
第三章 幕末足軽物語三
第四章 真吉九州へ、大石流の免許皆伝
第五章 免許皆伝~九州から高知そして中村へ
第六章 鎮西再遊
第七章 鎮西再遊と砲術
第八章 大坂への旅
第九章 鎮西三遊
第十章 真吉の結婚決まる
第十一章 長崎行き
第十二章 銃用自他
第十三章 日本漫遊~九州・江戸・土佐
第十四章 息子、鵬丸を失う
第十五章 砲術その他、遣捲録
第十六章 慶応四年戊辰戦争従軍~帰高まで
最終章 大名小路・明治三年(1870)
幕末足軽物語/樋口真吉伝完結編(リーブル出版/2021.6.10発行)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
歴史を趣味として暮らしてきた。
幼いころから墓地巡りが好きで、大人になってその傾向が崇じ、40歳を過ぎてから、暮夜ひそかに古文書類を読みふけるようになった。
掃苔癖(融通無碍/南史観<私観>)その理由はただひとつ、県内外にある歴史関連緒施設を巡っているうち、やりきれない不満をいだいたからだ。
同じ日本に生まれ、日本の筆を用いて和紙に書かれた文書が全く読めず、添えられた解説文に頼る自分が情けなく思え、
(読めるようになりたい)と願った。
最初はまるで読めなかったが、5年ほど経ったころから、少し明かりが見えた気分になってきた。一時の漆黒の闇状態から抜け出した。しかし、明るくなりきれることはできず、眼をさえぎる帷のようなものが開ききることはない。
辞書も持たずに始めた自分なりの古文書読みであった。古文書を読むグループの存在は知っていたが接近することなく過ぎた。これは決して望ましい方向ではないだろう。
が生来の偏屈が私を独学に向かわせた。だから私の古文書学には、常識をわきまえぬ自己流の読み方が多々ある。
客観性は大切だ。「自分を見下ろす自分」を心がけているが、それはやはり「主観の客観」でしかないかもしれない。
客観性は仲間の輪の仲で得られる。自分を否定する周囲の人々から受け取るものは多いだろう。
しかし、自分の性癖を見越して、独歩を始めた。先生も仲間もいない古文書読み。上達にはおのずから限界があるが、もう引き返すことはできないくらい時間的に遠くに来てしまった。
四年間ほど、縁あって四万十(旧中村)市に移り住み、ここで奇妙な文書に巡りあった。知らなかったが地元の古文書研究グループのテキストだったらしい。知人を介して私の手に落ちた。
表紙に「秘録」と二文字、題箋のようなきちんとした体裁をもった文書ではない。地方<じかた>の史料ありがちな題名だと思ったが、中身は衝撃的であった。揺れ動く幕末の記録であった。
よく知られる数々の著名人、そしてまったく無名の人々が登場する。歴史の息遣い、体臭をも生々しく感じる文章だった。
ひととおり読んだあと、(これを書いたのは誰だろう)という疑問が残った。
四万十市は田舎ゆえ、県都高知市には文献整備の点で及ばない。週末毎に高知市内の図書館に通い、そして周辺の識者、権威に教えを請うた。
素人の悲しさを味わった。興味だけで、常識がない。恥ずかしいこと限りない経験をした。
今、そんな筆者を我慢づよく冷笑もせず付き合ってくれた人々の学恩を思う。
さまざまの人物が浮かんでは消えていった。
そうして最後まで私の心に残ったのが「樋口真吉」であった。
幕末維新史の楽しさは、発掘の喜びと同じである。
古い家の襖の下貼りとして貴重な文書が残っている可能性がある。
「真吉は香美郡役所に勤めたことがあるし、妹は芸西村に嫁いだから、文書が残っているかも」と見当をつけて芸西村を探したら、たった一枚だが文書を見つけた。その時の興奮を今も忘れない。
著者さがしはやめ、真吉を追った。
そして、私なりに熟成の時間を待ち、躊躇を乗り越えて執筆に至った。
「秘録」の原本は目にしていないし、書く戸惑いは、今でもある。もっと資料を歩猟、博捜したいとも思う。
幕末足軽物語/リーブル出版(融通無碍/第37話)*****************
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土佐の森・文芸/幕末足軽物語(南寿吉著)

編集・発行
土佐の森グループ/ブログ事務局
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南寿吉先生の遺作(高知新聞/2021.7.2)~~~~~~~~~~~~~~
2023.12.01.23.59