◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
土佐の森・文芸 融通無碍(南寿吉著)
[南史観<私観>]
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
<令和3年6月5日発信>
【第6話】
■下田の風景

鯨くる海にまじはる・・・
四万十川百人一首/御供平佶海とうつとり婚(まぐは)ひ・・・
四万十川百人一首/横山美子中村・下田でこの有様を見ることに親しんだ真吉は体得していた。
『世の流れは海と川との関係と同じだ』と。
山に生まれた四万十が流れ下って海に注いで一体する。
川は海に飲み込まれたのか。
海は川を飲み込んだのか。
そういう関係ではあるまい。
両者が交わる
汽水域にこそ豊かな何かがある。
川が海に注ぐのは自然だ。
海という子は母なる川から大地の養分を受け取る。母は流れくる子に無心に乳を与える。子は当たり前のように教えられずして乳首に吸い付く。その乳も元は血液で、それが乳腺組織を通るだけで赤い血が白の乳に変わる。
何かをわれらに啓示している。
川の水のもとは雨で、雨のもとは海から立ち上る湯気のようなもの。
全てはつながっている。このつながりを断ち切ってはいけない。認め合いながら一緒に歩くがいい。時の流れが対立と互いの違和感を消すこともあるから。
川の流れのように(融通無碍[第2話]人生には三つの苦悩がある。
老いること、病に伏すこと、死ぬことだ。
老いも病も死につながるが生きる者に死は避けられない。
~~~~~~~~~~~
◆汽水域<きすいいき>
川は海に注ぐ。海水は塩分に富み、川は塩分を含まない水である。河口付近ではその両者が交じり合う、海とも川とも呼べない領域が生じる。これが汽水域だ。
シロでもクロでもないグレーゾーンである。人間も国も同じようなことがいえるかもしれない。
人間を男女に画然と分けることが可能だろうか、正しいことだろうか。山と平野を厳密に区分できるか。標高の高い土地を山と定義しても、やまあいの盆地にある田畑を山とすることは正しくあるまい。
国境は本当に線なのか、もしかしたら帯ではないか。
このグレーゾーンに息づくものたちが多様性、豊かさをもたらすのではないか。
中村・下田のこと(融通無碍[第3話]**************
ブログ
土佐の森・文芸/融通無碍(南寿吉著)

編集・発行
土佐の森グループ/ブログ事務局
**************

元高知県知事橋本大二郎氏
南寿吉先生の遺作(高知新聞/2021.7.2)融通無碍/総集版