1 学科の概要
講義にはB5版の約300ページの技能講習テキスト「車両系建設機械運転者教本」を使用しますが、2日間で全てのページ、項目を消化するのではなく、特に重要な箇所をピックアップ・強調する講義ぶりでした。
しかし、メカニズム、法令などを知り、安全性向上、技能向上面において得ることばかりですので、自ら繰り返し全般的に学習することをお勧めしておきます。私は早めにテキストを入手して5回ほど読破しました。
[初日]
機械の走行、作業に関する装置の構造及び取り扱いの方法スライドとホワイトボードを適宜併用します。
[2日目]
初日の続きと運転に必要な一般事項(点検整備、安全運転の心得、合図・誘導、力学、電気、地質、土木施工)、災害事例、関係法令。そして午後3時頃から20問の四者択一と○、×方式による学科試験を実施。

【写真】テキスト(建設業労働災害防止協会編集・発行)
2 学科試験の学習ポイント
毎年おそらく類似した出題傾向だろうと思いますが、20年5月の試験では下記のような基礎知識を広く問う問題でした。「誤っているものに○をせよ」のひっかけ設問が多いので注意が必要。(四択と○×方式による20問、問題用紙は3枚のボリウム)
・噴射ノズルの機能(高圧化?→×)
・過給機(ターボ)の機能(出力向上)
・燃料フィルターの機能(燃料内のゴミ、塵除去)
・エンジンオイルの5つの機能(潤滑、冷却、密封、清掃、防錆)
・走行装置の機構(スプロケットと履帯の関係)
・油圧駆動式の特徴(ブレーキとクラッチなし)
・油圧系の伝達(スイベルジョイントの上部、下部の伝達機能)
・トルコンの仕組み(パスカルの原理、衝撃吸収、ストール現象による油温上昇)
・油圧ポンプと油圧モーターの違い(←これは必出と推測)
・履帯は岩の多い所は固め、柔らか地盤では緩めにセット
・ターボエンジンを止める時は5分間の冷却用アイドリング
・冷えたエンジンを始動したとき、いきなりスロットル全開はだめ。
・モーターグレーダーは、ダンデムドライブによりブレードの上下動が少なくなる。
・モータースクレーパーのデフロック機能(スリップ防止用、停止機能ではない)
・オイルタンク内のエアブレザーの機能(タンク内に出入りする空気のゴミ取り)
・トレーラー積み込み時は、前進で登り、後進で降りる。勾配15°以下の爪付き道板使用
・機体重量と機械重量の定義(前者は作業部を含まない、水・燃料抜きの乾燥重量)
・安定度(10°とか30°)は、数値が小さいほど転倒しやすい。
・平均接地圧は、履帯式よりタイヤ式が高い。
・始業点検時にフィルターから水抜き。終了時は燃料を満タンにする。(逆は×)
・ワイヤーロープは10%の素線が切断したら交換。(24本6縒り→15本切断で交換)
・力の3要素(大きさ、方向、作用点)、てこの原理の設問
・土の質量 2t/m3 (4t/m3とかの誤選択回答がある)
・交流周波数:東日本は50Hz、西日本は60Hz(静岡県の富士川が境界)
・オームの法則(抵抗、電流、電圧の相互関係を問う設問) A=V/R
・100Vでも感電死はありうる。
・岩盤、堅い粘土:高さ5m未満なら掘削角度90°、5m超なら75°
・普通の地山:高さ2m未満なら90°、2~5mなら掘削角度は75°
(↑これらは必出と推測)
・土のせん断強度大は崩壊しにくい。
・警笛装置、前照灯は装着義務ありだが、バック灯は義務なし。
・ヘッドガード装着は落石危険時。
・定期自主検査の頻度と内容(年1回と月1回) 3年間の保存期間
・資格(機体重量3t未満と3t超過)
試験時間は1時間半くらいの設定ですが、見直し時間を含めて大体15分くらいで答案は仕上がります。直後に教官が採点して「全員合格です」の通知がなされるでしょう。この後に正しい回答説明と講評があります。
次回は、いよいよ実技に入ります。
それにつけても、今回受けた『学科試験』、学生時代にもどった気分で、ワクワクものでしたなあ!・・・ん?
(片岡 正法<高知市>/正会員/企画担当理事)
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[ひとくちメモ]
■車両系建設機械運転技能講習

[使用機械]
DO30SというKOMATSUの旧式トラクターショベルと、建設センターあたりからレンタルした自重7トンクラスの、同じくKOMATSUの PC78バックホーの2種類。これを2日半でマスターするカリキュラムだが、時間は余り気味。
森林組合の現場ですでに操作経験のある若い器用な連中が、数回軽く乗ってのんびりしている脇で、私はたっぷりと練習させてもらう時間がありました。
[機械の特徴]
前者は記念物ともいえるタイプで、旧東津野村の例の林業研修施設に約40年前に納品されたという古式豊かな歴史物。ホイール式では採石場とか、骨材置き場で見かけることはあるものの、最近ではまず見かけない履帯式。クラッチを切ってからのギヤーチェンジがうまくいかなくて、一同大いに手こずった。レバー類もいかにも無骨なデザイン。「こういう古いタイプの重機には現場で乗る機会はまずないから、しっかり練習しておくように」との教官の弁には思わず苦笑い。
後者はさすがに扱いやすく、洗練された操作配置で、エアコンも付いている優れもの。もとKOMATSUに勤務していたという教官が言うには、誰でも易しく扱える機械でないと、建設現場では売れないという言葉に納得。この不器用な私がわずか30分で大体の操作が出来るようになった。